いつものように 幕があき
恋の歌うたう私に 届いた報せは
黒いふちどりが ありました
あれは三年前 止めるあなた駅に残し
動きはじめた汽車に ひとり飛び乗った
ひなびた町の 昼さがり
教会の前に たたずみ
喪服の わたしは
祈る言葉さえ 失くしてた

つたがからまる 白い壁
細いかげ長く落として ひとりの私は
こぼす涙さえ 忘れてた
暗い待合室 話すひともない私の
耳に私の歌が 通りすぎてゆく
いつものように 幕があく
降りそそぐライトの その中
それでも わたしは
今日も恋の歌 うたってる

♪♪♪
今日風呂に入ってるときに、ふと出てきた歌がこれでした。
ちあきなおみの「喝采」。
あまりに古くて自分でもビックリですが。
私が初めて見たのは、何年か前に紅白の再放送で流れたバージョンなので、途中歌詞をはしょっていましたけど、
全部そろえるとこういう歌詞なんですね。
絵が浮かんでくるようで、雰囲気があって、すごくすごく好きです。
この歌を歌う彼女を初めて見たとき、鳥肌が立ちました。

コロッケのものまねでは出だしの部分しか聞くことができませんが、
歌詞を全部並べられると、なにやらドラマチックな世界が見えてくるんですよ。
で、上方の一点を見つめてまばたきもせずに、何かに取り憑かれたように歌うちあきなおみもすごい。
この人、芸能界に出てきたり消えたりしながら復活を待たれている歌手ですよね。
彼女もまた、この歌に負けないぐらいのドラマチックな過去をもってる歌手です。実話がもとだという説もあるよね確か。

この歌詞、内面の世界にはほとんど触れてません。ほとんどが、ただ出来事を淡々と綴った内容。
でもね、それが逆に聴く人の内面に迫るんです。ささるんです。
おれは泣けるね。うん。

なんか、この歌を聞くと、歌うと、あるいは歌詞を書くと、
「歌手はやっぱりこうあらねば!!」って思っちゃうんだな。
一個人としての感情を仕事に持ち込んだ結果、心身症とかであっけなく活動休業してしまう歌手ではなく、
心が抜け殻になっていても、いつものようにリッパに歌うプロの歌手がこの歌の中にいます。
それは、歌に対する姿勢が真摯だから。
心がどんな状態でも歌には真剣に向き合わなきゃいけない。
聴く人がいるから。そこに歌があるから。などなどの理由で。
歌ってる自分が幸せかどうかということは、たぶんこれとは別次元。
歌うときは歌のことだけ!!という気合いが伝わります。
で、実はこんな過去と現在があるのよ、いわないからわからないでしょうけど、な歌がこれ。

私はこんな風に解釈しましたが、読む人によって解釈が変わる可能性はありますね。(ここまで書いておいて言うのもなんだけどw)
歌の中の彼女はこのあと「あぁやっぱり歌手は大変。辞めようかな」と人生の転機を迎えるようにも、見える。

最近凄い過去をもった歌手が減りましたよね。

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