☆僕って何(河出書房新社)

最近まで風呂で読んでた本です。
初刊行1977年。すさまじい古本ですが、安かったので買いました(もちろんブックオフの105円棚w)。
昭和23年生まれ、まさに団塊の世代ど真ん中の著者が、自らの学生時代の空気を切り取ってきたような感じをこの本から受けました。

この世代の人たちが学生のころというと、学生闘争の真っ只中です。
主人公の「僕」は、田舎から上京してきたもののなかなか友達ができず、学内をフラフラしていたらクラスメイトの学生運動員に声をかけられ、特に思想もないままズルズルとその世界に引っぱりこまれていきます。
そこで、所属した派閥の思想に染まるのかな?と思いきや、彼は染まりません。
かといって自分なりの思想を打ち出すこともできず、ズルズルと周囲に流されていきます。
う〜ん、僕って何。って感じ。

ぐだぐだな学生生活を送る「僕」。
でも、バランスの取れた考え方はクールなんじゃないかな?当時にしては。
学生運動そのものに対しても、かなり醒めた視点をもっています。
この辺はちょっとカッコよいと思いました(ただし、この辺だけw)。
久々に文芸ものを読みましたが、
(あ、ごめんなさい。「Deep Love」読んだばっかりだったwwでもアレは文芸じゃないかwww)
結構引き込まれるものがあって、面白かったです。

私が学生をやってた1990年代でも、まだ学生運動団体は存在していました。
大学の合格発表だか入学手続きだかのときに、全学連の人たちがビラを配ってた(!)し、大学構内には独特の書体で書かれた立て看板があったし、ゴミ箱や校舎の壁には「決起闘争!!」などと書かれたビラが貼られてたし…。
もちろん外見的には異様なものに映りました。時代錯誤もいいとこ。
でもうちの大学は巨大だったので、そんな団体も含めて種々雑多な団体が生き延びることができていたのだと思います。
(余談ですが、例の宗教団体「摂理」がうちの大学で盛んに勧誘をしてた時代が私の学生時代と重なっていました。気づかなかっただけに恐ろしい。)
今もまだあるのかな…。

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