公開初日に

2007年2月17日 音楽です
観たかった映画を観ました!
公開中にもう一度か二度は観に行くはず。多分。
そして今は、余韻に浸りながらパンフレットを穴があくほど眺めています。

昔のR&B好きとしては、オープニングの素人コーラスコンテストの場面からドーパミンが出まくりでした。
ウキウキワクワクな音楽が全編にわたって楽しめますた。
元気がみなぎる映画です。

この映画について、「要はモータウンレコードとダイアナ・ロスの話みたいなもんなんでしょ?」という批評を目にタコができるほど(いわねー)見かけます。
私なりの解釈を。

○(劇中)レインボウ・レコード→(現実)モータウン・レコード
似てるぅ〜〜!
デトロイトの自動車販売業を営んでいた人が音楽業界に乗り出すところや、
売り出し中の歌手のレコードを黒人ラジオ局にどんどん持ち込んでオンエアしてもらうところがモータウンそっくり。
(後者は、最近読んだ「リズム&ブルースの死」に詳しく書いてあります)
社長のカーティスの人となりも、まんまモータウン社長のベリー・ゴーディJrです。
要するに「白人の市場を開拓したい。だから、ソウルフルな黒人らしさは排除すべし」とか「時代に乗っかってることが一番重要。アーティストの自分らしさは二の次」とか思ってそうなところですね。
この男に対しては、黒人のいい音楽を伝えるのが目的ではなく、単に音楽を利用して一旗挙げるのが目的だったのでは?と勘ぐりたくなるほど、したたかな人物像が浮かび上がります。
その、計り知れなさが怖いです。

○ディーナ・ジョーンズ→ダイアナ・ロス
なんともいえません〜。微妙〜。
この人の無機的な声が、黒人っぽさの排除(=白人市場への接近)につながってバカ売れしたところはソックリ。それと、あたし社長とデキてたのよウフフフフってところも似てます。
でもねでもね!
ダイアナ・ロスって、こんないい人じゃないと思うんですよ(あぁ言っちゃったw)。
いや悪人だとは言ってませんからねあくまで(汗)。
なんというか、もっとガツガツして山っ気のある女性だったはず。
映画ではビヨンセがおしとやかに演じていますけどね。
ダイアナ・ロス本人は、やれ売れる前からプライドだけは超一流あったらしいとか、やれ再結成コンサートで前に出ようとしたメンバーを肘で小突いたとか、その辺のきな臭い話題に事欠かない人らしいんですよ。
そう考えると、人間的にちょっと違うかなーって感じでした。
よって、モータウンレーベルにいた(とされる)架空のグループ=「ドリームズ」と考えると、しっくりきます。
ビヨンセがめっちゃ美しい。

○ジェームズ・サンダー・アーリー→ジェームズ・ブラウン
この映画のみどころになっている、エディ・マーフィの役です。
各種の映画批評では「エディ・マーフィは素人時代にジェームズ・ブラウンのものまねをして一発当てた。この役のモデルはJBでしょう」みたいなことがよく載っています。
……う〜〜〜〜んそうかなぁ(悩)。
映画の中のジミー・アーリーは、激しいステップや黒っぽい歌声を売り物にした往年の歌手です。
もともと黒人に大人気だったんだけど、レインボウ・レコードが繁栄していく一方でその波に乗りきれず、時代に取り残されていきます。最後は悲劇。
う〜〜ん、やっぱりこれは、JBじゃないですよー。
JBの場合、彼自身も時代を常に感じていたし(だから、R&Bに踏みとどまらずにファンクを開拓したんでしょうね)、
まして観客の前で醜態をさらすことなんて、まずなかったんじゃないかと思います。
私が思うにエディの演じるこの役は、ジャッキー・ウィルソンではないかと。
ジャッキー・ウィルソンは、60年代を象徴するダンサブルな黒人歌手でありながら、時代とともにすっぱり忘れ去られた感の大きい歌手です。

○C.C.ホワイト→スモーキー・ロビンソン
劇中、エフィの兄役で出てくる作曲家です。架空の人だけど、モデルはスモーキー・ロビンソンかな?と評されています。
……よくわかんないけどそうなんじゃないすか(w)。
しかしスモーキー・ロビンソンって、どうしてあんなに好青年のイメージしかないのでしょう。
いいよなー。よくないか。アハ。

60年代〜70年代のアメリカにおける黒人音楽の歴史を知るには、とっても刺激的で素敵な映画だと思います。
それと、この映画を通して「モータウンはいかにして売ろうと考えていたのか?」ってことがよく分かったので、私自身が昔からダイアナ・ロスの歌声に興味をもてなかったことが改めて納得できました。
要は、白人ぽくて薄っぺらく聞こえたんだよね。
劇中に何度も登場するエフィ(歌が黒人くさ過ぎるため&太りすぎているためにメンバーを干された女性)のソウルフルな熱唱には胸が震えます。
これぞ黒人の黒人による黒人のための音楽です!

……とまあグダグダ語ってきましたが、この映画は面白い!
ミュージカル映画なんだけどミュージカル臭くないですよ。
(映画レビューなんですけど、中心は音楽なので日記のカテゴリは「音楽」に入れることにしました。)
今度はいつ観に行こうかな〜。
ぽわわ〜ん。

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